ニュージーランド国歌はなぜ2つ?歌詞の意味や怖い噂の真相を解説

ニュージーランド国歌はなぜ2つ?歌詞の意味や怖い噂の真相を解説
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ラグビーの試合前などで耳にするニュージーランド国歌ですが、実は二つの曲が正式な国歌として認められていることをご存知でしょうか。

あの独特のメロディやマオリ語の響きに惹かれつつも、歌詞の日本語訳や歴史的背景までは詳しく知らないという方は多いはずです。

なぜ二つ存在するのか、一部で歌詞が怖いと言われる理由はどこにあるのか、そしてオールブラックスが歌うマオリ語にはどんな想いが込められているのか。

ここでは、これらの疑問を一つひとつ丁寧に紐解き、カタカナでの読み方や曲調が暗いと感じる原因についても深掘りしていきます。

この記事を読むと分かること
  • ニュージーランドに二つの国歌が存在する歴史的な理由と背景
  • 歌詞に登場する「太平洋の三つ星」の正体や和訳の意味
  • マオリ語版の歌詞が持つ独自の世界観とカタカナでの読み方
  • 1999年のラグビーW杯を機に変わった国歌斉唱の知られざるドラマ
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ニュージーランド国歌が2つある理由

ニュージーランド国歌が2つある理由

多くの国では国歌は一つだけですが、ニュージーランドはその歴史的経緯から二つの楽曲を国歌として採用している珍しい国です。

ここでは、メインで歌われる曲の詳細な意味や、もう一つの国歌との関係性、そしてスポーツの現場で見られる独特なスタイルについて解説します。

歌詞の日本語訳と込められた意味

現在、ニュージーランドで最も一般的に歌われている国歌は『God Defend New Zealand(神よニュージーランドを護りたまえ)』です。

この曲は、19世紀後半にアイルランド系移民の詩人トーマス・ブラッケンによって作詞されました。

英語の歌詞(1番)の意訳を見ると、単なる国家の賛美ではなく、平和への切実な祈りが込められていることがわかります。

万国の神よ、御足のもとに
我らは愛の絆で結ばれ集う
乞い願わくは、我らの声を聞き入れたまえ
神よ、我らの自由な土地を護りたまえ
太平洋の三つ星を護りたまえ
争いと戦争の槍から
彼女(国)の称賛を遠くまで響かせたまえ
神よ、ニュージーランドを護りたまえ

この歌詞の特徴は、「勝利」や「栄光」よりも、「防衛(Defend)」と「愛の絆」を強調している点にあります。

多文化国家としての調和を願い、外部の脅威や内なる争いからこの自由な土地を守ってほしいという、非常に謙虚で敬虔な姿勢が貫かれています。

太平洋の三つ星が指すものとは

歌詞の中で最も多くの人が疑問に思うのが、「太平洋の三つ星(Pacific’s triple star)」というフレーズでしょう。

これにはいくつかの説がありますが、歴史的な文脈から最も有力とされているのが、ニュージーランドの国土を構成する主要な三つの島を指しているという説です。

  1. 北島(North Island)
  2. 南島(South Island)
  3. スチュアート島(Stewart Island)

歌詞が書かれた1870年代当時、これらは「Northern, Middle, and Stewart Islands」と呼ばれ、主要な国土として認識されていました。

夜空の星(ケンタウルス座アルファ星など)を指すというロマンチックな解釈もありますが、当時の天文学的な知識や文脈を考えると、自分たちの住む美しい島々そのものを「星」に例えたと考えるのが自然ですね。

英国国歌との関係や歴史的背景

もう一つの国歌は、イギリスと同じ『God Save the King(神よ国王を護りたまえ)』です。

ニュージーランドはかつて大英帝国の植民地であり、1977年まではこの曲だけが唯一の国歌でした。

しかし、ナショナリズムの高まりとともに独自の国歌を求める声が強まり、エリザベス2世女王の承認を得て、『God Defend New Zealand』が法的に同等の地位を持つ国歌へと昇格したのです。

現在でも、王室メンバーが臨席する行事や総督の公式儀式などでは『God Save the King』が演奏されます。

2022年のチャールズ3世即位に伴い、歌詞の「Queen」は「King」へ変更されました。

このように、君主の性別によって歌詞が変わるのもこの曲の特徴といえます。

マオリ語版国歌の特徴と重要性

ニュージーランド国歌の最大の特徴ともいえるのが、英語とマオリ語(先住民の言葉)のバイリンガル斉唱です。

マオリ語版は『Aotearoa(アオテアロア)』と呼ばれ、実は英語版の直訳ではありません。

1878年にトーマス・H・スミスによって翻訳・再構築されたもので、マオリ語独自の世界観が色濃く反映されています。

英語版が「外部からの防衛」を神に願うのに対し、マオリ語版は「内面的な平安」や「名誉」、「恥辱からの解放」に重きを置いています。

「God(神)」を「Ihowā(エホバ)」と呼びかけ、「Defend(防衛)」の代わりに「Aroha(愛、慈しみ)」を求めるなど、より包摂的で精神的なニュアンスが強いのが特徴です。

この違いを知ると、両方を歌うことの深みが増してきますね。

オールブラックスの斉唱スタイル

ラグビー代表チーム「オールブラックス」の試合前に行われる国歌斉唱は、世界中で注目される瞬間です。

現在のスタイルは、まずマオリ語の1番を歌い、続けて英語の1番を歌うのが標準となっています。

選手たちは、自身のルーツにかかわらず全員がマオリ語の歌詞を正確に歌えるようトレーニングを受けています。

肩を組み、堂々と歌い上げる彼らの姿は、単なる儀式を超えてチームの結束(Whānau)と、国の文化的な誇りを象徴しています。

ハカ(Haka)の前の静けさの中で響くこの二言語の国歌は、ニュージーランドという国の多文化共生の精神を体現しているといえるでしょう。

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ニュージーランド国歌の読み方と評判

ニュージーランド国歌の読み方と評判

ここからは、実際に歌ってみたい方や、曲に対して抱かれる印象について解説します。

特に「暗い」「怖い」といった検索キーワードが見受けられますが、その背景には音楽的な理由や歴史的なドラマが隠されています。

発音のコツとカタカナ読み方

マオリ語は日本語と母音の構造が似ており(a, e, i, o, u)、日本人にとって比較的発音しやすい言語です。

ただし、注意が必要なのが「wh」の発音です。

地域によって異なりますが、現代の国歌斉唱では英語の「f」に近い音(ファ行)で発音されるのが一般的です。

以下に、歌いやすいカタカナ読み方を紹介します。

マオリ語パート(1番)

  • E Ihowā Atua,(エ イホワ アトゥア)
  • O ngā iwi mātou rā,(オ ンガ イウィ マートゥ ラー)
  • Āta whakarangona;(アータ ファカランゴナ)
  • Me aroha noa(メ アロハ ノア)
  • Kia hua ko te pai;(キア フア コ テ パイ)
  • Kia tau tō atawhai;(キア タウ トー アタファイ)
  • Manaakitia mai(マナアキティア マイ)
  • Aotearoa(アオテアロア)

特に「whakarangona」や「atawhai」の部分で、唇を軽く噛むように「ファ」と発音するのがポイントです。

歌詞が怖いと言われる背景

検索で「ニュージーランド 国歌 怖い」というワードが出てくることがありますが、これは歌詞に含まれる具体的な単語の影響が大きいと推測されます。

英語版の歌詞には「shafts of strife and war(争いと戦争の槍)」や「dissension, envy, hate(不和、嫉妬、憎悪)」といった、ネガティブで危機感のある言葉が並んでいます。

これは、作詞された19世紀後半がマオリ戦争(土地戦争)の直後であり、社会的な不安が色濃く残っていた時代背景を反映しています。

「怖い」というよりは、平和が脅かされることへの切実な恐れと、それを回避したいという真剣な祈りの表れと捉えるべきでしょう。

曲調が暗いと感じる原因分析

歌詞だけでなく、曲調自体も「暗い」と感じる人がいます。

楽譜上はト長調(G Major)という明るい調性で書かれていますが、賛美歌特有の重厚な和声進行と、演奏される際のテンポの遅さが影響しています。

一般的に、国歌といえば行進曲のような高揚感のある曲(フランスの『ラ・マルセイエーズ』など)をイメージしがちですが、『God Defend New Zealand』は教会で歌われるような静謐な祈りの歌です。

ゆっくりとした4分の4拍子で、一歩一歩踏みしめるように歌われるため、どこか短調のような哀愁や厳格さを帯びて聞こえるのです。

歴史を変えたある女性歌手の決断

現在の「マオリ語→英語」という斉唱スタイルが定着したのは、実は比較的最近のことです。

そのきっかけとなったのが、1999年のラグビーワールドカップ準々決勝での出来事でした。

マオリの女性歌手ヒネウェヒ・モヒは、満員のスタジアムで、当時としては異例の「マオリ語のみ」での国歌独唱を行いました。

Sing It In English! The Game Changing Performance of Our National Anthem | The Hui 2021

これに対し、当時は「英語で歌わないのはけしからん」といった激しい批判が巻き起こりました。

しかし、この論争こそが「なぜ自分たちは先住民の言葉で国歌を歌えないのか?」という国民的な問い直しを生み、結果としてバイカルチュラリズムの象徴としての現在のスタイルを確立させたのです。

彼女の勇気ある行動がなければ、今のオールブラックスの姿はなかったかもしれません。

ニュージーランド国歌の魅力まとめ

ニュージーランド国歌の魅力まとめ

ニュージーランドの国歌について、その二重構造や歌詞の深層を探ってきました。

この国歌は、植民地時代の遺産である『God Save the King』と、独自のアイデンティティを謳う『God Defend New Zealand』が共存し、さらにその中で英語とマオリ語が融合しているという、世界でも類を見ない多様性を持っています。

「怖い」や「暗い」といった第一印象の奥には、平和への深い祈りと、異なる文化が手を取り合おうとする意志が込められています。

次回のスポーツ観戦の際は、ぜひ「太平洋の三つ星」への想いを感じながら聴いてみてください。

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