実家に眠っているピアノのことを考えると、懐かしさと同時に少し気が重くなることがあります。
20年以上も蓋を開けていないピアノが、果たしてまだ楽器として使えるのか、それとも修理に莫大な費用がかかるのか、不安に思う方は少なくありません。
調律だけで済むのか、それとも大掛かりな部品交換が必要になるのか、その境界線は外見だけでは判断しにくいものです。
この記事では、長期間放置されたピアノを再生させるために必要な費用の内訳や、修理すべきか手放すべきかの判断基準について、情報を整理してお届けします。
選択肢の一つとして後ほど紹介するくらしのマーケットなどのサービスも含め、納得のいく決断をするための材料にしていただければ幸いです。
- 20年以上放置されたピアノの調律にかかる基本料金と追加費用の相場が分かります
- 音程を戻すためのピッチ上げや内部修理が必要になる物理的な理由を理解できます
- 修理して使い続けるか買い替えるかを判断するための経済的な基準が得られます
- 信頼できる調律師を探す方法や事前に確認すべき見積もりのポイントが分かります
まず押さえるべき結論は、「調律+ピッチ上げ」までは数万円で収まることもある一方、アクション修理やクリーニング、部品交換が重なると10万円前後(あるいはそれ以上)まで一気に伸びる、という点です。
費用は放置年数そのものより「今の不具合の種類」と「作業が何工程になるか」で決まりやすいため、見積もりの内訳を見ることが重要になります。
20年以上のピアノ調律の値段と内訳

長期間弾かれていなかったピアノを復活させる場合、通常の定期調律とは異なる料金体系が適用されることが一般的です。
なぜ費用が上乗せされるのか、その技術的な背景と具体的な金額の目安を知ることで、見積もりに対する納得感も変わってきます。
長期放置されたピアノの費用は、同じ「調律」でも作業メニューが増えるほど積み上がります。
金額は地域・機種・状態で変動するため、以下はあくまで一般的な目安としてご覧ください。
| 項目 | 目安の範囲 | どういうときに発生しやすいか |
|---|---|---|
| 基本の調律料金 | 依頼先により幅あり | 年1回の定期調律に相当する作業 |
| 未調律期間の加算(ブランクチャージ等) | 数千円〜数万円 | 前回調律から年数が空いている |
| ピッチ上げ(予備調律・二度調律) | 5,000円〜2万円程度 | 音程が大きく下がっている |
| 軽微な調整(スティック等) | 1箇所あたり1,000円前後 | 鍵盤・アクションの動きが渋い |
| 部品交換(ピン、フェルト等) | 数万円単位になることも | 劣化・虫食い・破損がある |
| 本格クリーニング | 2万5,000円〜5万5,000円程度 | カビ・汚れが強い、内部清掃まで行う |
| 追加の特殊作業 | 内容次第 | 搬出入、消毒、重度の害獣痕など |
放置期間による追加料金の仕組み

ピアノの調律料金において、ユーザーが最初に戸惑うのが「空き期間」に応じた追加料金です。
一般的に、調律は1年に1回行うことが推奨されていますが、この期間が空けば空くほど弦の張力が低下し、作業時間が大幅に延びると考えられています。
そのため、多くの業者では「未調律期間加算料金」や「ブランクチャージ」といった名目で追加費用を設定しているようです。
メーカー系サービスでも、長年調律されていない場合は経過年数やピッチ低下度などにより追加料金がかかる旨が示されています。
この追加料金の計算方法は、主に以下の2パターンが見られます。
- 1年ごとの加算方式
1年空くごとに1,000円前後を加算していく計算式です。計算が明快ですが、20年以上の放置となると加算額だけで2万円近くになるケースもあり、長期放置ピアノには割高になる傾向があります。 - 上限付きの定額方式
「10年以上は一律1万円増し」のように上限(キャップ)を設けているパターンです。20年、30年と期間が長い場合は、この方式を採用している業者の方が総額を抑えられる可能性があります。
20年以上のブランクがある場合、加算料金に上限が設定されているか、あるいは日当ベースの作業料で対応してくれるかを確認すると安心です。
音程を戻すピッチ上げの追加費用

20年放置されたピアノでほぼ確実に必要とされるのが、ピッチ上げ(Pitch Raise)と呼ばれる作業です。
ピアノの弦には全体で約20トンもの強い力がかかっていますが、長期間放置されるとこの力が緩み、音程が半音近く下がってしまうことがあります。
このように大きく下がった音程を、一度の作業で標準の高さ(A=442Hzなど)まで戻そうとすると、急激な張力の変化によりフレームや響板が歪み、すぐに音が狂ってしまう「戻り現象」が起きるといわれます。
これを防ぐために、まず全体を粗く引き上げて張力を安定させてから、改めて精密な調律を行う「二度打ち(Double Tuning)」という工程が必要になります。
この予備調律の工程には、通常料金とは別に5,000円から2万円程度の費用がかかることが一般的です。
単なる値上げではなく、楽器を安定させるための物理的に不可欠な処置であると理解しておくとよいでしょう。
基準ピッチ(中央の「ラ」)は現場の慣行でA=440HzやA=442Hzなどが選ばれることがあります。
世界標準の基準ピッチとしてA=440Hzが示される例もあるため、希望がある場合は事前に調律師へ伝えると意思疎通がスムーズです。
ISO『ISO 16:1975 Acoustics — Standard tuning frequency』
内部故障の修理や部品交換の料金

調律で音程が整ったとしても、鍵盤を押した感触(タッチ)や音の出方に問題が残るケースがあります。
ピアノの内部機構(アクション)は木材やフェルト、金属ピンなどの複合素材でできており、これらは演奏していなくても湿気や経年変化で劣化していくからです。
特によく見られるのがスティックと呼ばれる症状です。
湿気によってフェルトが膨張したり金属ピンが錆びたりして、鍵盤が上がらなくなったり、音が鳴り止まなくなったりする現象です。
- 軽微な調整
1箇所あたり1,000円前後 - 部品交換
センターピンなどの交換が必要な場合、数万円単位の費用がかかることもあります。
また、長期間暗い場所に閉ざされていたピアノ内部は、衣類害虫にとっても快適な環境といえます。
ハンマーフェルトやクロス類が虫食いの被害に遭っていると、その交換費用としてさらに数万円が必要になる可能性があります。
費用を抑えたい場合でも、「どの不具合が演奏に直結し、どれが見た目や快適性に関わるか」を分けて優先順位をつけると、見積もりの交渉が現実的になります。
外装や鍵盤クリーニングの相場
20年分の埃やカビ、汚れを取り除くクリーニングも、復活の際には検討したい項目です。
これは見た目をきれいにするだけでなく、アレルギー源の除去や、新たな害虫被害を防ぐ意味でも重要と考えられます。
多くの調律業者では、調律とセットで行うクリーニングプランを用意しています。
- 簡易清掃
掃除機がけや鍵盤の水拭き程度であれば、数千円の追加やサービスに含まれることが多いようです。 - 本格クリーニング
外装の磨き上げや内部の分解清掃を行う場合、2万5,000円から5万5,000円程度が相場とされています。
ネズミの侵入痕跡(巣や糞尿)がある場合は、通常のクリーニングでは対応できず、特殊な消毒・消臭作業が必要となり費用が高額になるケースがあるため注意が必要です。
ヤマハ特有のフレンジコード修理

もしお持ちのピアノが1970年代から90年代初頭に製造されたヤマハのアップライトピアノである場合、ほぼ避けて通れないのがフレンジコードの交換修理です。
これはハンマーを元の位置に戻すためのバネを支える糸ですが、当時の特定の製造ロットでは経年劣化でこの糸が切れやすくなっていることが知られています。
この糸が切れると、連打ができなくなったり、タッチがスカスカになったりします。
一本切れているということは他の糸も寿命を迎えている可能性が高いため、88鍵すべてのコードを交換するのが一般的です。
この修理には3万5,000円から4万5,000円程度の費用が見込まれます。
ヤマハ製の該当時期のモデルをお持ちの方は、調律料金に加えてこの修理費をあらかじめ予算に組み込んでおくのが賢明といえそうです。
ここまで、20年放置されたピアノの復活にかかる費用の詳細を見てきました。
基本料金に加え、状態に応じた修理費や特殊作業費が積み上がっていく構造がお分かりいただけたかと思います。
こうした複雑な料金体系の中で、少しでも納得感のある依頼先を見つけたい方には、くらしのマーケットでの比較が役に立つかもしれません。
- 事前に口コミや評価を確認して、信頼できそうな人を選びたい人
- 料金体系が明確に表示されている業者を探したい人
- 大手メーカーの画一的な対応よりも、個人の調律師と相談しながら進めたい人
くらしのマーケットには多くの個人技術者や工房が出店しており、それぞれの得意分野や料金設定を一覧で比較できます。
特に古いピアノの再生を得意とする職人を見つけやすいのがメリットといえます。
まずは自宅近くのエリアでどのような調律師がいるか、チェックしてみると判断材料が増えるはずです。
>> ピアノ運送を料金と口コミで比較する20年以上のピアノ調律の値段と判断基準

修理費用が総額で10万円を超えるような見積もりが出た場合、「本当にそこまでお金をかけて直す価値があるのか?」と迷うのは当然のことです。
ここでは、感情的な愛着だけでなく、経済的な合理性の観点から、ピアノを修理すべきか、それとも買い替えや処分を検討すべきかの判断基準について解説します。
判断を早めるコツは、「①弾ける状態に戻す最低限の費用」と「②今後10年使う前提の費用」を分けて考えることです。
前者は音が出る/止まる/鍵盤が戻るといった基本機能の回復、後者は部品交換や整調・整音などの快適性と耐久性の回復が中心になります。
修理か買い替えかの損益分岐点

ピアノを修理して使い続ける価値があるかどうかは、その楽器の「グレード(質)」と「状態」によってある程度判断できます。
一般的に、修理を推奨されるケースとして以下のようなものが挙げられます。
- ハイグレードモデル
背面に「X支柱」があるモデルや、グランドピアノなどは、中古市場でも価値が高く維持されています。10万円かけて修理しても、資産価値として十分に見合うと考えられます。 - 思い入れのある楽器
家族の思い出が詰まっているなど、金額に換えられない価値がある場合です。
一方で、1970年代の普及価格帯のエントリーモデルで、かつ保管状態が悪く修理費が高額になる場合は、経済的には買い替えの方が有利なこともあります。
例えば、修理に15万円かかるなら、その資金を元手に、消耗品が交換済みの「リニューアルピアノ」や高性能な電子ピアノを購入したほうが、結果的に長く安心して使えるという考え方もできます。
ただし、同じ型番でも保管環境や消耗具合で必要な作業は大きく変わるため、修理の是非は「総額」だけでなく「どの部品を、どこまで直す前提の見積もりか」を確認して判断するのが現実的です。
ピアノを処分する際の費用相場
検討の結果、残念ながら再生を断念し、処分することになった場合の費用についても触れておきます。
ピアノは自治体の粗大ゴミとしては出せないことが多く、専門業者による搬出が必要です。
処分の相場は、運送費込みで以下の金額が一般的とされています。
- アップライトピアノ
2万円から4万円程度 - グランドピアノ
4万円から6万円程度
ここに、階段作業やクレーン使用などの特殊作業費が加算される仕組みです。
処分するだけでもそれなりの出費となるため、まずは次に紹介する「買取」の可能性を探るのが鉄則といえます。
搬出条件によって費用が動きやすいテーマなので、室内移動や業者選びの要点も合わせて確認しておくと判断が早くなります。
アップライトの重量感がピンと来ない場合は、先に重さの目安を把握しておくと見積もりの納得度が上がります。
買取査定で値段がつく条件
20年以上前の古いピアノであっても、すぐに有料処分を決める必要はありません。
特に「ヤマハ(YAMAHA)」や「カワイ(KAWAI)」といった有名メーカーのピアノであれば、古くても海外需要などで値段がつく可能性があります。
- 値段がつきやすい条件
- 定番モデル(U1, U3など)であること
- 外装に大きな傷がなく、内部の響板に割れがないこと
- 黒塗り(鏡面艶出し塗装)のモデル
もし買取価格がつかなくても、「無料引き取り」で対応してもらえるなら、数万円の処分費用が浮くことになります。
まずは複数の業者に査定を依頼してみるのが良いでしょう。
査定の段階では「見た目の汚れ」よりも「構造的なダメージ(響板割れ、フレームやピンの重大な不具合など)」のほうが価格に影響しやすいため、外装を完璧に整える前に見積もりを取るほうが合理的なケースもあります。
信頼できる調律業者の選び方

最終的に「修理して使い続ける」と決めた場合、パートナーとなる調律師選びは非常に重要です。
20年放置のピアノは、単に音を合わせるだけでなく、これから長く使うための「治療」が必要です。
- メーカー系サービス
純正部品を使った確実な修理が期待できますが、料金は定価ベースであることが多く、古いピアノに対しては買い替えを提案されることもあるようです。 - 個人工房・技術者
「直して使い続けたい」というユーザーの想いに寄り添い、柔軟な修理プラン(使える部品は残すなど)を提案してくれる傾向があります。
問い合わせの際は、メーカー名、機種名、製造番号、そして「20年間調律していない」という事実を正直に伝えることで、より精度の高い概算見積もりをもらうことができます。
依頼先の比較では、所属や肩書きよりも「見積もりの出し方」と「説明の透明性」が判断材料になります。
例えば、総額だけでなく、調律・ピッチ上げ・修理・クリーニングが別立てで明示され、優先順位(最低限/推奨/将来的に)を提案してくれる調律師は、方針のすり合わせがしやすい傾向があります。
調律師の資格や協会認定などを手がかりに探したい場合は、公的機関ではないものの業界団体としての情報も参考になります。
よくある質問:20年以上放置ピアノの調律と修理
- Q見積もり前に、最低限そろえる情報は何ですか?
- A
メーカー名、機種名、製造番号、設置階(階段・エレベーターの有無)をそろえると話が早いです。可能なら「最後に調律した時期」と、鍵盤やペダルの不具合の有無も伝えると概算の精度が上がります。
- Qまずは調律だけ頼んで、修理は後回しにできますか?
- A
可能な場合があります。音程を整えることで不具合の切り分けがしやすくなる一方、ピッチ上げや安全上の修理が必要だと当日判断されることもあるため、追加作業の扱い(事前連絡の有無)を確認すると安心です。
- Qピッチ(A=440Hz/442Hz)は指定したほうがいいですか?
- A
こだわりがなければ調律師の提案に任せても問題ありません。合奏や既存の楽器と合わせる必要がある場合は、基準ピッチを先に決めておくと後戻りが少なくなります。
- Q買取査定に出す前に、クリーニングはしたほうがいいですか?
- A
軽い埃落とし程度は印象がよくなることがありますが、査定は状態や型番の影響が大きいため、費用をかけた清掃が価格に直結するとは限りません。まずは現状で複数社に見てもらい、必要ならその後に整える流れが無難です。
20年以上のピアノ調律の値段総括

20年以上放置されたピアノを復活させるには、基本料金だけでなく、ピッチ上げや経年劣化に伴う部品交換など、ある程度の初期投資が必要です。
ピアノ調律を20年以上していない場合の値段は、「最低でも3万円から5万円、本格的に弾ける状態にするなら10万円前後の予算を見ておくのが現実的」という答えが一つの目安といえるでしょう。
しかし、これは決して無駄な出費ではありません。
過去20年分の維持費を一括で清算し、この先何十年も音楽を楽しむためのリセット費用と考えれば、十分に価値のある投資とも捉えられます。
もし、どこに依頼すればよいか迷っているなら、まずはくらしのマーケットで地域の調律師を探し、相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
- 顔の見える個人技術者に、チャットで事前にピアノの状態を相談できます。
- 料金設定やキャンセル規定が明確なので、見積もり後のトラブルを減らせます。
- 実際に依頼した人の口コミを見て、古いピアノの対応に慣れている人を選べます。
まずは公式サイトで、お住まいの地域に対応しているプロのプロフィールや料金を確認し、見積もり依頼や状態の相談をしてみることをおすすめします。
それが、大切なピアノを蘇らせるための第一歩になるはずです。
>> ピアノ運送を料金と口コミで比較する


