「エイエイオー!」という掛け声。
スポーツの応援やイベントを盛り上げる際におなじみのフレーズですが、この言葉が持つ本当の意味をご存知でしょうか。
現代での一般的な使い方だけでなく、その古い歴史や言葉の起源、そして気になる由来について、詳しく知る機会は意外と少ないかもしれません。
この記事では、エイエイオーという言葉の深い意味について、戦国時代の元ネタから、人気番組チコちゃんで紹介された説、さらには時折うわさされるヘブライ語との関連性に至るまで、あらゆる角度から徹底的に掘り下げて解説します。
また、応援の際に「なんて言うか」と迷った時のための言い換え表現や、文化の異なる英語での伝え方についてもご紹介します。
- エイエイオーの歴史的な起源や由来がわかる
- 複数の説に基づいた言葉の本当の意味を理解できる
- 現代での正しい使い方や英語での言い換え表現がわかる
- チコちゃんでの解説や様々な元ネタの知識が深まる
エイエイオーの意味と知られざる歴史的背景

- エイエイオーの基本的な意味とは?
- エイエイオーの起源は武家の鬨の声
- 古い武家作法としての由来
- 戦国時代に遡るエイエイオーの歴史
- 上泉信綱が語ったとされる元ネタ
エイエイオーの基本的な意味とは?

結論から言うと、「エイエイオー」は、集団で何かを始める際に士気を高め、一体感を生み出すための掛け声です。
スポーツの試合や会社のプロジェクトキックオフなどで、参加者全員の心を一つにする目的で使われます。
この掛け声の語源には、主に二つの有力な説があります。
一つは、精鋭の「鋭(えい)」に、それに応答する「応(おう)」を合わせたという説です。
もう一つは、大将が「曳(えい)」と呼びかけ、兵士が軍神を意味する「叡王(えいおう)」と応えたという説になります。
いずれの説にも共通しているのは、リーダーの呼びかけ(エイエイ)と、集団の応答(オー)という、コール・アンド・レスポンスの形式を取っている点です。
この形式が、集団の結束力を高める効果を生んでいます。
エイエイオーの起源は武家の鬨の声

「エイエイオー」の直接的な起源は、日本の戦国時代などに行われていた武家作法の一つ、鬨の声(ときのこえ)に遡ります。
鬨の声とは、合戦の開始を告げたり、自軍の士気を鼓舞したり、または敵を威嚇したりするために、大勢の武士たちが一斉に上げる叫び声のことでした。
特に、戦に勝利した際に上げる鬨の声は「勝鬨(かちどき)」と呼ばれ、喜びを爆発させると同時に、勝利を神々に報告する儀式的な意味合いも持っていたとされています。
この鬨の声が、時代を経て形を変え、現代の「エイエイオー」という応援の掛け声として受け継がれているのです。
つまり、「エイエイオー」は単なる掛け声ではなく、日本の武士たちの戦いの歴史から生まれた、由緒ある文化の一つと言えるでしょう。
古い武家作法としての由来

「エイエイオー」という掛け声の形式は、室町時代後期の文献にすでに見ることができ、非常に古い歴史を持つ作法であることがわかります。
武将・多賀高忠が記したとされる『軍陣聞書』には、鬨の声に関する具体的な記述が残されています。
そこには、「軍陣にて鬨の声を上る事、初めは大将などのえいえいと言へば、続の者おうと永く言うべし。三度程も上ぐべし」と書かれています。
これは、大将が「えい、えい」と呼びかけると、それに続く者たちが「おー」と長く応える、という現代とほぼ同じコール・アンド・レスポンスの形式を示したものです。
このように、リーダーが呼びかけ、集団が応えるという形式は、古くから部隊の統率を取り、兵士たちの心を一つにするための有効な手段として確立されていました。
この古い作法が、現代の私たちにも受け継がれているのは興味深いことです。
戦国時代に遡るエイエイオーの歴史

「エイエイオー」という掛け声が特に重要視されるようになったのは、戦国時代です。
この時代、戦いの様式が個人の武勇を競う一騎討ちから、足軽などを含む大規模な集団戦へと大きく変化しました。
集団で統率の取れた動きをするためには、兵士一人ひとりの士気を高め、部隊としての一体感を醸成することが不可欠です。
それ以前は「ウオー!」といった単純な雄叫びが主でしたが、より組織的な行動を促すための共通の掛け声として、「エイエイオー」の形式が定着していったと考えられています。
例えば、上杉謙信の戦の仕方を記した『北越軍談』にも、この掛け声に関する記述が見られるなど、戦国時代の武将たちが、いかにチームワークと兵士の士気向上を重視していたかがうかがえます。
上泉信綱が語ったとされる元ネタ

「エイエイオー」の語源として、ユニークな説に剣豪・上泉信綱が伝えたとされる「曳叡王(えいえいおう)」説があります。
これは、新陰流の開祖としても知られる信綱が残したとされる『訓閲集』に記述があると言われるものです。
この説によれば、戦に勝利し凱旋する際、大将が「曳(えい)」と叫び、それに応えて兵卒たちが「叡王(えいおう)」と叫んだとされています。
ここでの「曳」は兵を率いるという意味を持ち、「叡王」は軍神を指す言葉とされます。
つまり、戦いの後に軍神を元の場所へお送りし、奉るための儀式的な掛け声だったという解釈です。
ただし、この説には注意点もあります。
「叡王」という言葉は、現代では将棋のタイトル戦「叡王戦」で知られていますが、それ以外の古い文献での使用例がほとんど確認できません。
そのため、専門家の中にはこの説の信憑性を疑問視する声もあり、数ある元ネタの一つとして捉えるのが適切でしょう。
様々な説から紐解くエイエイオーの意味と使い方

- チコちゃんで解説された意味とは?
- 現代でのエイエイオーの正しい使い方
- 応援でなんて言う?エイエイオーの言い換え
- エイエイオーは英語でどう表現する?
- ヘブライ語との関連性は本当にあるのか?
- 総まとめ:エイエイオーの意味を多角的に解説
チコちゃんで解説された意味とは?

NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる!』では、「エイエイオーってなんなの?」という疑問に対し、「『戦う気はあるか』『戦う気はあるか』『もちろんです』」という意味だと解説されました。
番組では歴史学者の小和田哲男名誉教授が登場し、『北越軍談』に記された「曳々応(えいえいおう)」という表記を根拠に解説が進められました。
大将が発する「エイエイ(曳々)」は、「兵を引っ張るぞ、国を栄えさせるぞ。お前たち、戦う気はあるか」という問いかけであり、それに対して兵士たちが「オー(応)」と、「もちろんです」と力強く応じる、という解釈です。
一方で、この解説は「エイエイオー」の語源として有力なもう一つの説、つまり精鋭の「鋭」と応答の「応」を合わせた「鋭々応(えいえいおう)」説に触れませんでした。
このため、放送後には、諸説ある中の一つの説を断定的に紹介したとして、ネット上では様々な意見が交わされることになりました。
現代でのエイエイオーの正しい使い方

現代において「エイエイオー」は、戦のような命がけの場面でなく、スポーツやビジネス、地域イベントなど、集団で一つの目標に向かう際に士気を高めるための掛け声として広く使われています。
コール・アンド・レスポンスが基本
最も一般的な使い方は、リーダー役の一人が右腕の拳を突き上げながら「エイ、エイ」と二度発声し、それに続いて参加者全員が同じく拳を突き上げながら「オー!」と力強く応える形式です。
この呼びかけと応答の形式が、参加者の一体感を最大限に高めます。
タイミングを合わせることで、より強い連帯感が生まれるでしょう。
回数に関する豆知識
かつて出版されていた『歴史読本』という雑誌によれば、本来は「エイ、エイ、エイ」と3回繰り返すのが正式な作法で、現代の2回は誤った用法である、と紹介されたことがあります。
しかし、現在では3回繰り返す形式はほとんど見られず、2回繰り返すのが完全に定着しています。
時代の変化とともに、使いやすい形に変化してきたと言えそうです。
応援でなんて言う?エイエイオーの言い換え

「エイエイオー」は力強い掛け声ですが、場面によっては少し大げさに感じられたり、雰囲気に合わなかったりすることもあります。
そのような時に使える、応援や鼓舞のための言い換え表現をいくつかご紹介します。
場面 | 言い換え表現 | ニュアンス |
---|---|---|
スポーツの試合観戦 | 「がんばれー!」「フレー、フレー!」 | 特定のチームや選手に対する直接的な応援や励ましの気持ちを伝えます。 |
プロジェクト開始時 | 「やるぞー!」「がんばろう!」 | 仲間内で決意を表明し、互いを鼓舞する際に使われる、より身近な表現です。 |
仲間内の軽い集まり | 「いっちょやるか!」「ファイトー!」 | 大げさにならず、気軽な雰囲気で場を盛り上げたい時に適しています。 |
目標達成を祝う時 | 「やったー!」「バンザーイ!」 | 喜びを分かち合う場面では、ストレートな歓喜の言葉が最も伝わります。 |
これらの表現を場面や相手との関係性に応じて使い分けることで、より効果的に気持ちを伝えることができます。
エイエイオーは英語でどう表現する?

日本の文化に根差した「エイエイオー」に、完全に一致する英語表現を見つけるのは困難です。
しかし、似たような状況やニュアンスで使われるフレーズはいくつか存在します。
英語フレーズ | 日本語訳・ニュアンス | 主な使用場面 |
---|---|---|
Hip hip hooray! | 万歳!、やったー! | 勝利や誕生日など、お祝いの場面で集団で叫ぶことが多いです。コール&レスポンスで使われます。 |
Go for it! | いけー!、頑張れ! | 誰かが新しい挑戦をする際に、背中を押すための応援の言葉として使われます。 |
Give it your all! | 全力を出して! | 試験やスポーツの試合など、相手に全力を尽くすよう励ます時に使われます。 |
Let’s do this! | さあ、やるぞ! | チームで何かを始める直前に、士気を高めるために使われる掛け声です。 |
これらのフレーズは、「エイエイオー」のように拳を突き上げる動作を伴うとは限りませんが、集団の士気を高めたり、誰かを応援したりする気持ちを表現する際に役立ちます。
ヘブライ語との関連性は本当にあるのか?

インターネット上の一部では、「エイエイオー」が古代ヘブライ語に由来するのではないか、という説が語られることがあります。
しかし、結論から言うと、この説を裏付ける学術的な根拠や信頼できる文献は現在のところ確認されていません。
このような説は、しばしば「日ユ同祖論」という、日本の文化や言語のルーツを古代イスラエルの民に求める考え方の中で登場します。
日本語の中には、偶然ヘブライ語と響きが似ている言葉がいくつか存在するため、このような説が生まれる背景となっています。
ただ、「エイエイオー」に関しては、これまで見てきたように『軍陣聞書』や『北越軍談』といった日本国内の文献にその起源や用法が記されています。
そのため、武家の作法である「鬨の声」から発展したという説が最も有力であり、ヘブライ語起源説の信憑性は極めて低いと考えるのが一般的です。
総まとめ:エイエイオーの意味を多角的に解説

- エイエイオーは集団の士気を高めるための掛け声
- 基本的な意味はリーダーの呼びかけと集団の応答
- 起源は戦国時代の武家作法「鬨の声」に遡る
- 勝利時に上げる声は「勝鬨」と呼ばれる
- 語源には「鋭々応」説と「曳々応」説がある
- 「鋭々応」は精鋭の「鋭」と応答の「応」を意味する
- 「曳々応」は大将の「曳」と兵士の「応」を意味する
- 『チコちゃんに叱られる!』では後者の説が紹介された
- 上泉信綱が伝えたとされる「曳叡王」という元ネタ説もある
- 現代ではスポーツやビジネスシーンで広く使われる
- 使い方はリーダーが「エイエイ」と呼びかけ皆が「オー」と応える
- 英語に完全一致する表現はなく「Hip hip hooray!」などが近い
- 言い換えとして「がんばろう!」「やるぞー!」などがある
- ヘブライ語との関連性を示す学術的根拠はない
- 日本の武家文化から生まれた由緒ある掛け声である