いろは歌の本当の意味は怖い、という話を聞いたことはありますか。
小学生や子供向けの学習で使う歌詞のイメージが強いですが、その背景には非常に深い世界が広がっています。
いろは歌の正しい読み方や現代語訳を知ることで、この歌が一体何を伝えたいのか、その本質が見えてくるのです。
一方で、いろは歌には隠された意味を持つ暗号が存在するという説も広く知られています。
特に有名な「咎なくて死すとはどういう意味?」という謎や、さらに不可解な「いちよらやあゑとはどういう意味?」といった言葉は、多くの人々の興味を惹きつけてやみません。
この記事では、いろは歌の意味が怖いと言われる理由から、その背景にある仏教的な教えまで、誰にでもわかりやすく解説していきます。
- いろは歌の基本的な意味と仏教的な背景
- 「怖い」と言われる理由である暗号の具体的な内容
- 作者や歴史に関する定説と知られざる事実
- 歌に込められた人生の教訓と現代における魅力
いろは歌に隠された本当の意味は怖い?

- いろは歌の歌詞と基本的な読み方
- 小学生・子供向けにわかりやすく解説
- 現代語訳でわかる仏教の教え
- 結局いろは歌は何を伝えたい?
- 有為の奥山に込められた本当の意味
いろは歌の歌詞と基本的な読み方

いろは歌は、すべての仮名47文字を一度ずつ使って作られた七五調の歌です。
まずは、その美しい響きを持つ歌詞全体を見てみましょう。
歴史的仮名遣いと、現代の漢字仮名交じり表記では印象が少し変わります。
種別 | 表記 |
---|---|
歴史的仮名遣い | いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす |
漢字仮名交じり | 色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず |
この歌では、現在では使われない「ゐ(wi)」と「ゑ(we)」が使われているのが特徴です。
読み方は七五調のリズムを意識すると、心地よく口ずさむことができます。
この歌が持つ独特のリズムと網羅性から、古くは文字を学ぶための手本として広く親しまれていました。
小学生・子供向けにわかりやすく解説

「いろは歌」と聞くと、多くの方が文字の練習歌をイメージするかもしれません。
実際、その通りで、江戸時代には寺子屋などで子供たちが日本語の仮名を覚えるために使われていました。
アルファベットを覚えるための「ABCの歌」のように、すべての文字が一度ずつ登場するため、学習教材として非常に優れていたのです。
当時は現在のような「あいうえお順(五十音順)」が一般的ではなく、辞書や名簿の並びも「いろは順」が主流でした。
このように、いろは歌は単なる歌としてだけでなく、日本の教育や文化の基礎を支える実用的な役割を担ってきた歴史があります。
子供たちにとっては、まず最初に触れる学びの入り口が、このいろは歌だったのです。
現代語訳でわかる仏教の教え

いろは歌の歌詞を現代の言葉に訳すと、その表面的な美しさの奥に、深い仏教的な思想が込められていることがわかります。
- 色は匂へど 散りぬるを
- 現代語訳:色鮮やかに咲き誇る花も、やがては散ってしまうものだ。
- 我が世誰ぞ 常ならむ
- 現代語訳:この世に生きる私たちを含め、誰が永遠に存在し続けるだろうか(いや、誰もいない)。
- 有為の奥山 今日越えて
- 現代語訳:因縁によって作られた苦しみの多いこの世(有為)という奥深い山を、今日まさに乗り越えて。
- 浅き夢見じ 酔ひもせず
- 現代語訳:儚い夢を見たり、現実に酔いしれたりすることなく、迷いのない境地に至ろう。
この歌は、仏教の根本的な教えである「諸行無常」を見事に表現しています。
この世のすべてのものは常に移り変わり、決して同じ状態に留まることはない、という真理です。
美しい花も、人の命も、すべては儚く移ろいゆくもの。
その事実を受け入れ、執着から解放されることで本当の安らぎが得られる、という仏教の核心的なメッセージが、この短い歌の中に凝縮されているのです。
結局いろは歌は何を伝えたい?

いろは歌が伝えたい核心は、前述の通り「諸行無常」という仏教の真理です。
この歌の元になったとされるのが、仏教の経典である『涅槃経』に登場する「雪山偈(せっせんげ)」という詩です。
この物語は、釈迦が前世で雪山童子(せっせんどうじ)として修行していた時の話に由来します。
雪山童子は悟りを求め、人食い鬼(羅刹)が唱えた偈の前半「諸行無常 是生滅法」を聞き、残りの半分を聞くために自らの身を捧げる約束をしました。
鬼が後半の「生滅滅已 寂滅為楽」を説いた後、童子が身を投げると、鬼は帝釈天の姿に変わり、その求道心を称えて彼を受け止めた、とされています。
涅槃経の偈 | 対応するいろは歌 |
---|---|
諸行無常 是生滅法 (すべてのものは移ろい、生まれ滅びるのが定め) | いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ |
生滅滅已 寂滅為楽 (生滅の苦しみを超えた悟りの世界こそが安楽) | うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす |
このように、いろは歌は単なる文字遊びではなく、命をかけてでも求める価値のある「悟りの教え」を、日本語の美しい響きにのせて伝えようとしているのです。
有為の奥山に込められた本当の意味

「有為の奥山(ういのおくやま)」という言葉は、いろは歌の中でも特に仏教的な意味合いが強い部分です。
この句を理解することで、歌全体のメッセージがより深く味わえます。
有為(うい)とは何か
まず「有為」とは仏教用語で、様々な因縁(原因や条件)によって作られた、常に変化し続けるこの世のすべての物事や現象を指します。
つまり、私たちの日常、喜びや悲しみ、出会いや別れといった、生滅変化する世界そのものが「有為」です。
この世界は不確かで、苦しみが伴うとされています。
奥山(おくやま)の比喩
そして「奥山」は、この「有為」の世界を、どこまでも続く奥深い山道に例えた表現です。
人生を山登りに例えるように、私たちの人生は時に険しく、迷いやすい、出口の見えない山道のようなものである、という比喩になります。
したがって、「有為の奥山今日越えて」という一句は、「苦しみに満ちたこの無常の世界を、今まさに乗り越えて、悟りの境地へと向かう」という、非常に前向きで強い決意を表しているのです。
それは単なる現実逃避ではなく、迷いの本質を理解し、その先にある安らかな心を目指すという、仏教的な救済への道筋を示しています。
いろは歌が怖いと言われる暗号の真相

- いろは歌に隠された意味とは
- 有名な暗号「咎なくて死す」とはどういう意味?
- 謎の言葉「いちよらやあゑ」とはどういう意味?
- まとめ:いろは歌の怖い意味と深い魅力
いろは歌に隠された意味とは

これまで解説してきた仏教的な深い意味とは別に、いろは歌には「隠された意味」、すなわち暗号が仕込まれているという説が存在します。
このミステリアスな側面が、「いろは歌は怖い」というイメージを生み出す大きな要因となりました。
これらの説は、歌の文字を特定の方法で並べ替えたり、区切ったりすることで、本来の歌詞とは全く異なるメッセージを読み取るというものです。
特に江戸時代頃から、こうした暗号解読が一種の知的遊戯として流行し、様々な解釈が生まれました。
これらは学術的な定説というよりは、都市伝説や文学的な仕掛けとして語り継がれてきたものが多く、歌に多層的な魅力を与えています。
有名な暗号「咎なくて死す」とはどういう意味?

いろは歌に隠された暗号の中で、最も有名で広く知られているのが「咎なくて死す(とがなくてしす)」というメッセージです。
これは「無実の罪で死ぬ」という意味であり、歌の美しい響きとは裏腹な、不気味で悲劇的な響きを持っています。
この暗号は、いろは歌を七文字ずつで区切り、各行の最後の文字を縦に読んでいくと浮かび上がるとされています。
- いろはにほへと
- ちりぬるをわか
- よたれそつねな
- らむうゐのおく
- やまけふこえて
- あさきゆめみし
- ゑひもせす
この最後の文字を繋げると「とかなくてしす」となり、これが「咎なくて死す」と解釈されるのです。
この暗号の存在は古くから知られており、無実の罪で死を余儀なくされた人物の怨念やメッセージが込められているのではないか、と考えられてきました。
特に、主君の無念を晴らす『仮名手本忠臣蔵』の物語が、いろはの47文字にちなんでいることも、この暗号の説得力を高める一因となっています。
謎の言葉「いちよらやあゑ」とはどういう意味?

「咎なくて死す」ほど有名ではありませんが、いろは歌には他にも様々な暗号が隠されているという説があります。
その一つが「いちよらやあゑ」という謎の言葉です。
この言葉の導き出し方には諸説あり、確立された解読法はありません。
一説には、特定の文字を盤面に配置し、斜めに読んでいくことで現れるとされていますが、その方法は非常に複雑です。
また、この言葉が何を意味するのかについても、明確な答えはありません。
「人名である」「別のメッセージの一部である」など様々な推測がなされていますが、いずれも決定的な証拠はなく、謎に包まれたままです。
「咎なくて死す」が比較的有名な説であるのに対し、「いちよらやあゑ」は、いろは歌の暗号の中でも特にマイナーで、信憑性よりもミステリーとしての側面が強いものと言えるでしょう。
こうした解読困難な謎の存在が、いろは歌のミステリアスな魅力をさらに深めています。
まとめ:いろは歌の怖い意味と深い魅力

- いろは歌は仮名47文字を1回ずつ使って作られている
- 古くは文字を学ぶための手本として使われた
- 作者は弘法大師(空海)ではなく作者不明というのが定説
- 歌の本当の意味は仏教の「諸行無常」の教え
- 元になったのは『涅槃経』の雪山偈という詩
- 「有為の奥山」とは苦しみの多いこの世の比喩
- 「怖い」と言われる理由は隠された暗号の存在
- 最も有名な暗号が「咎なくて死す」
- これは「無実の罪で死ぬ」という意味
- 歌を七文字ずつに区切り末尾を読むと現れる
- 「いちよらやあゑ」という、より謎の多い暗号説もある
- これらの暗号は学術的な説より都市伝説に近い
- 美しい仏教の教えとミステリアスな暗号という二面性を持つ
- その多層的な魅力が現代に至るまで人々を惹きつけている
- 単なる文字の練習歌ではなく、深い哲学と謎を秘めた文化遺産