こきりこ節の歌詞の意味を解説!日本最古の民謡の謎に迫る

こきりこ節の歌詞の意味を解説!日本最古の民謡の謎に迫る
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富山県の五箇山地方に伝わる日本最古の民謡、こきりこ節の歌詞や意味について、深く知りたいと思われたことはありませんか。

コキリコとはどういう意味で、こきりこぶしは何をねがっているのか、その背景にはどんな物語が隠されているのでしょうか。

この記事では、かつて中学校の音楽の教科書にも掲載されたこの歌について、ふりがなを付けた歌詞付きで詳しく解説します。

また、独特の囃子言葉であるデデレコデンの意味から、この民謡がどんな時に歌うか、そして現代では合唱曲としてどのように親しまれているかまで、こきりこ節の歌詞の意味を多角的に掘り下げていきます。

この記事を読むと分かること
  • 日本最古の民謡「こきりこ節」の全体像
  • 難解な歌詞や囃子言葉の具体的な意味
  • 五穀豊穣を願う歌が生まれた歴史的背景
  • 現代における「こきりこ節」の楽しみ方
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「こきりこ節」の歌詞と意味がわかる基本情報

「こきりこ節」の歌詞と意味がわかる基本情報
  • 日本で最も古いといわれる民謡
  • 曲名「コキリコとはどういう意味?」
  • こきりこぶしは何をねがっている?
  • 祭りで五穀豊穣を祈りどんな時に歌うか
  • かつては中学校の音楽の教科書にも掲載された
  • 現代では合唱曲としても親しまれる

日本で最も古いといわれる民謡

日本で最も古いといわれる民謡

こきりこ節は、富山県南砺市五箇山地方に伝わる、日本で最も古い民謡の一つとされています。

その理由は、この歌の原型が飛鳥時代にまで遡るという説や、1800年前後の文献にその名がはっきりと記されているためです。

具体的には、「越の下草(こしのしたくさ)」や「奇談北国順杖記(きだんほっこくじゅんじょうき)」といった古文書に「こきりこ」の名が登場します。

このように由緒がはっきりしている民謡は珍しく、その歴史的価値の高さから「五箇山の歌と踊り」の一つとして、国の選択無形文化財に指定されています。

また、同じ富山県の「越中おわら節」「麦屋節」と並び、富山県を代表する三大民謡としても広く知られています。

曲名「コキリコとはどういう意味?」

曲名「コキリコとはどういう意味?」

こきりこ節という曲名は、この歌で使われる特徴的な楽器の名称に由来します。

「コキリコ」とは、2本の細い竹を両手に持って打ち鳴らす打楽器のことで、漢字では「筑子」や「小切子」と表記されます。

歌詞の中にも「こきりこの竹は七寸五分じゃ」と歌われており、その長さが約23センチメートルであることがわかります。

これ以上長いと、当時の衣装であった狩衣(かりぎぬ)の長い袖に引っかかって演奏の邪魔になるため、この長さが最適とされていました。

ちなみに、その語源には、大化の改新の頃に山伏が豊作を祈願して詠んだ木片のお経「コケラ経」が訛ったものだという説もあります。

こきりこぶしは何をねがっている?

こきりこぶしは何をねがっている?

この歌の最も中心的な願いは、五穀豊穣、つまり農作物が豊かに実ることへの祈りです。

こきりこ節は、もともと田植えや稲刈りの合間に行われた「田楽(でんがく)」や「田踊り」として発展してきました。

そのため、歌詞や踊りの随所に、神々への感謝と未来の豊作を願う気持ちが込められています。

一方で、この民謡の伝承には平家の落人伝説も深く関わっています。

都を追われた人々が、遠い越中の山里で昔の雅な暮らしを思い出し、心の安寧を願いながら歌い踊ったというセンチメンタルな側面も、この歌の願いの一つと言えるでしょう。

祭りで五穀豊穣を祈りどんな時に歌うか

祭りで五穀豊穣を祈りどんな時に歌うか

こきりこ節が最も盛大に披露されるのは、毎年9月25日と26日に開催される「こきりこ祭り」です。

この祭りは、富山県南砺市上梨(かみなし)にある白山宮の境内で、こきりこ節の保存と伝承を目的に行われます。

祭りでは、舞台上で地元の保存会の人々によって、古式ゆかしいこきりこ節の歌と踊りが奉納されます。

特に、色鮮やかな衣装をまとった女性たちが舞う「しで踊り」や、烏帽子(えぼし)・狩衣姿の男性たちが「ささら」という楽器を鳴らしながら勇壮に舞う「ささら踊り」は圧巻です。

この祭りの場で、こきりこ節は単なる歌としてではなく、地域の人々の祈りや歴史と一体となった総合芸術として生き続けています。

かつては中学校の音楽の教科書にも掲載された

かつては中学校の音楽の教科書にも掲載された

こきりこ節は、その素朴で美しい旋律から、昭和の中期には全国の中学校で使われる音楽の教科書に掲載されていたことがあります。

教科書に採用された理由は、メロディがシンプルで覚えやすく、日本の伝統的な音階やリズムを学ぶ上で優れた教材であったためと考えられます。

このことにより、こきりこ節は五箇山地方だけでなく、日本中の多くの人々が知る民謡となりました。

一時期は歌い手が減り、忘れ去られる危機にも直面しましたが、教科書への掲載や、後述する保存会の熱心な活動によって、その価値が再認識されました。

多くの人にとって、どこか懐かしさを感じるメロディとして記憶されているかもしれません。

現代では合唱曲としても親しまれる

現代では合唱曲としても親しまれる

こきりこ節は、その原曲の素晴らしさから、現代では多くの作曲家によって合唱曲としても編曲され、広く歌われています。

この民謡の持つ素朴で心に響くメロディラインは、複数の声部が重なり合う合唱のハーモニーと非常に相性が良いのです。

そのため、全国の合唱団のレパートリーとして取り上げられたり、合唱コンクールで演奏されたりする機会も少なくありません。

原曲の雰囲気を生かした編曲から、より現代的でダイナミックなアレンジが施されたものまで、その表現は多岐にわたります。

YouTubeなどの動画サイトで検索すれば、様々な合唱団による演奏を聴くことができ、元々の民謡とはまた違った魅力を発見できます。

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「こきりこ節」の歌詞の深い意味に迫る

全文掲載!「こきりこ節」の歌詞の深い意味に迫る
  • まずは全文の歌詞から紹介
  • 読みやすい歌詞付きの動画も便利
  • 難しい言葉も安心なふりがな解説
  • 謎の囃子言葉デデレコデンの意味
  • 総まとめ:こきりこ節の歌詞が持つ深い意味

まずは全文の歌詞から紹介

まずは全文の歌詞から紹介

こきりこ節の歌詞は、伝わる地域や歌い手によっていくつかのバリエーションがありますが、ここでは代表的なものを紹介します。

筑子の竹は 七寸五分じゃ
長いは袖の かなかいじゃ
*(囃子)窓のサンサもデデレコデン 晴れのサンサもデデレコデン

向かいの山を 担ごとすれば
荷縄が切れて 担がれぬ
*(囃子)

向かいの山に 鳴くヒヨドリは
鳴いては下がり 鳴いては上がり
朝草刈りの 目をば覚ます
*(囃子)

踊りたか踊れ 泣く子をいこせ
ササラは窓の 元にある
*(囃子)

今来る嫁の 松明(たいまつ)ならば
差し上げて点(とも)しゃれ 優男(やさおとこ)
*(囃子)

読みやすい歌詞付きの動画も便利

読みやすい歌詞付きの動画も便利

歌詞の全文を読んだだけでは、どのようなメロディやリズムなのか想像しにくいかもしれません。

そのような場合は、YouTubeなどの動画共有サイトで「こきりこ節 歌詞付き」と検索してみることをお勧めします。

現地の保存会による貴重な演舞の映像や、様々な歌い手によるカバー、合唱の演奏などが数多く公開されています。

メロディに合わせて歌詞のテロップが表示される動画を見れば、歌の雰囲気や言葉の区切り方が直感的に理解できます。

また、踊りや楽器の演奏も一緒に見ることで、こきりこ節が持つ世界観をより深く感じ取ることができるでしょう。

こきりこ節(YouTube)

難しい言葉も安心なふりがな解説

難しい言葉も安心なふりがな解説

こきりこ節の歌詞には、現代ではあまり使われない古風な言葉が登場します。

主要な単語の意味を以下の表にまとめました。

言葉(ふりがな)意味・解説
筑子(こきりこ)長さ七寸五分(約23cm)の2本の竹を打ち鳴らす打楽器。
かなかい邪魔になること、妨げになること。
担ご(かづご)「担ぐ」の古い言い方。
いこせ(いくせ)「こちらへよこしなさい」「私に預けなさい」という意味。
ささら108枚の木の板を紐で繋いだ楽器。シャラシャラと擦るような音を出す。
狩衣(かりぎぬ)平安時代以降の公家や武士が普段着として用いた衣装。
杣刀(そまがたな)木こりが使う刀。都での華やかな暮らしとの対比で使われる。

特に、「踊りたか踊れ 泣く子をいこせ」という一節は、姑が若い嫁に向かって「踊りたいなら踊っておいで、泣いている赤ん坊は私がみていよう」と気遣う、当時の厳しい生活の中に見られる優しさを表した、味わい深い歌詞として知られています。

謎の囃子言葉デデレコデンの意味

謎の囃子言葉デデレコデンの意味

こきりこ節を最も印象的なものにしているのが、「窓のサンサもデデレコデン」という謎めいた囃子言葉です。

この意味については、現在でもいくつかの説があります。

説1:擬音語説(通説)

最も一般的で分かりやすいのが、太鼓やささらといった楽器の音を模した「擬音語」であるという説です。

「デデレコデン」という響きが、祭りの賑やかな楽器の音を連想させるというものです。

説2:ヘブライ語由来説

非常にユニークな説として、この言葉が古代イスラエルの言語であるヘブライ語に由来するというものがあります。

この説によれば、「デデレコデン」は「あなたの道を論じている」という意味の「dederekh dan」が変化したものとされます。

また、「サンサ」は「喜べ」を意味する「sas」が語源ではないか、と考えられています。

これはあくまで一説ですが、古代日本の文化の奥深さを感じさせる興味深い解釈です。

総まとめ:こきりこ節の歌詞が持つ深い意味

総まとめ:こきりこ節の歌詞が持つ深い意味
  • こきりこ節は日本最古級の民謡
  • 富山県五箇山地方に伝わる国の選択無形文化財
  • 歌の中心的な願いは五穀豊穣と生活の安寧
  • 曲名の「こきりこ」は竹を打ち鳴らす楽器の名前
  • 歌詞には七寸五分という具体的な長さが歌われる
  • 「ささら」や「鍬金」といった古来の楽器も使われる
  • 囃子言葉「デデレコデン」は太鼓の擬音という説が一般的
  • ヘブライ語に由来するというユニークな解釈も存在する
  • 姑が嫁を優しく気遣う様子が歌われた一節もある
  • ヒヨドリの鳴き声で時刻を知る自然と共に生きる知恵が描かれる
  • 平家の落人が都を偲びながら歌ったという歴史的背景を持つ
  • 昭和の中期には中学校の音楽の教科書にも掲載された
  • シンプルで明るく、どこか懐かしいメロディが特徴
  • 現代では合唱曲としても編曲され多くの人々に歌われている
  • 毎年9月には現地で「こきりこ祭り」が開催され奉納踊りが見られる
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