あんたがたどこさの歌詞の意味|怖いと言われる由来と熊本・川越の謎

あんたがたどこさの歌詞の意味|怖いと言われる由来と熊本・川越の謎
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「あんたがたどこさ」は多くの人が知る童歌ですが、その歌詞の意味や由来について深くご存知でしょうか。

歌詞がひらがなで伝えられることが多いこの歌には、実は歌詞が違うバージョンや、歌詞の二番、さらには歌詞の3番とされるものまで存在します。

また、歌詞が怖いという説や、狸を木の葉でなぜ隠すのかという謎、使われている方言の秘密も関心を集めています。

「あんたがたどこさ」の意味は?と問われれば、多くの謎が浮上し、「あんたがたどこさ」の「せんば」は熊本が発祥?という議論や、「あんたがたどこさ」は方言で何と言う?といった疑問も尽きません。

この記事では、これらの謎を一つずつ解き明かしていきます。

この記事を読むと分かること
  • 「あんたがたどこさ」の基本的な歌詞と意味
  • 歌詞にまつわる複数のバージョンと比較
  • 熊本説と川越説の由来に関する議論
  • 歌詞が「怖い」と言われる説の真相
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「あんたがたどこさ」の歌詞と基本的な意味

「あんたがたどこさ」の歌詞と基本的な意味
  • 「あんたがたどこさ」の意味は?
  • 童歌の歌詞をひらがなで紹介
  • エビが登場する歌詞が違うバージョン
  • タヌキではない歌詞の二番も存在
  • 歌詞の3番とされる「うまさのさっさっさー」

「あんたがたどこさ」の意味は?

「あんたがたどこさ」の意味は?

「あんたがたどこさ」という歌の題名は、そのまま歌詞の冒頭部分から取られており、「あなたたちのお住まいはどこですか?」と相手の出身地を尋ねる言葉です。

この歌は、正式には「肥後手まり唄」と呼ばれ、古くから子供たちの間で歌い継がれてきた童歌(わらべうた)の一つです。

特に、まりつきをしながら歌う「手鞠歌」として親しまれてきました。

歌詞全体が、質問する人と答える人の会話で構成されているのが特徴で、このような形式の歌を「問答歌(もんどうか)」と呼びます。

この形式から、幕末から明治時代初期にかけて作られたのではないかと考えられています。

童歌の歌詞をひらがなで紹介

童歌の歌詞をひらがなで紹介

多くの人が耳にしたことのある、最も一般的な「あんたがたどこさ」の歌詞は以下の通りです。

遊びながら歌われることが多いため、読みやすいひらがなで広く伝わっています。

【ひらがな歌詞】
あんたがたどこさ ひごさ
ひごどこさ くまもとさ
くまもとどこさ せんばさ
せんばやまには たぬきがおってさ
それをりょうしが てっぽうでうってさ
にてさ やいてさ くってさ
それをこのはで ちょいとかぶせ

【漢字・かな混じり歌詞】
あんた方何処さ 肥後さ
肥後何処さ 熊本さ
熊本何処さ 船場さ
船場山には狸がおってさ
それを猟師が鉄砲で撃ってさ
煮てさ 焼いてさ 食ってさ
それを木の葉でちょいと隠せ

歌詞の内容は、肥後(現在の熊本県)の熊本、その中の船場(せんば)から来た、と答える流れになっています。

そして、船場山にいた狸を猟師が仕留めて食べた、という少し衝撃的な内容が続きます。

エビが登場する歌詞が違うバージョン

エビが登場する歌詞が違うバージョン

実は、「あんたがたどこさ」には狸ではなく、エビが登場する歌詞も存在します。

1953年に熊本政治新聞社が発行した『肥後民謡』という本では、こちらのバージョンが紹介されており、内容が大きく異なります。

【エビバージョンの歌詞】
あんたがたどこさ ひごさ
ひごどこさ くまもとさ
くまもとどこさ せんばさ
せんばがわには えびさがおってさ
それをりょうしが あみさでとってさ
にてさ やいてさ くってさ

この歌詞では、舞台が「せんば山」から「せんば川」に変わり、登場する生き物も「狸」から「えび」になっています。

捕獲方法も「鉄砲」から「網」へと変更されており、より漁師らしい描写になっているのが特徴です。

タヌキではない歌詞の二番も存在

タヌキではない歌詞の二番も存在

前述のエビが登場する歌詞は、タヌキ版とは異なる内容から、歌の「二番」として扱われることがあります。

どちらが原型なのかについては諸説ありますが、タヌキ版の少し物騒な内容を避けたい場合や、川の幸が豊富な地域で歌われる際に、エビ版の歌詞が好まれた可能性も考えられます。

このように、口伝えで広まるわらべうたは、地域や時代によって歌詞が柔軟に変化していくことが珍しくありません。

歌詞の3番とされる「うまさのさっさっさー」

歌詞の3番とされる「うまさのさっさっさー」

歌詞のバリエーションは、狸やエビといった登場生物の違いだけではありません。

歌の結びの部分にも違いが見られます。

特に九州地方では、一般的な「それを木の葉でちょいと隠せ」ではなく、「うまさのさっさっさー」という歌詞で終わることが多いようです。

実際に歌の舞台とされる熊本市の船場橋周辺でも、こちらの結び方で広く伝わっています。

このため、こちらが元々の形であり、「木の葉でちょいと隠せ」の部分は後から付け加えられたか、あるいは別の地域で変化したものではないか、という説も提唱されています。

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「あんたがたどこさ」の歌詞の意味にまつわる怖い説

「あんたがたどこさ」の歌詞の意味にまつわる怖い説
  • 歌の由来は熊本ではなく埼玉の川越?
  • 歌詞の「さ」は熊本弁ではなく関東の方言
  • 「あんたがたどこさ」は方言で何と言うか
  • 「せんば」の地名は熊本が発祥なのか
  • 歌詞が怖いと言われる狸(家康)説
  • 狸を木の葉でなぜ隠すのか解説
  • 総まとめ:「あんたがたどこさ」歌詞の意味の諸説

歌の由来は熊本ではなく埼玉の川越?

歌の由来は熊本ではなく埼玉の川越?

歌詞には「肥後」や「熊本」という地名が登場するため、熊本県が発祥の地と考えるのが一般的です。

しかし、これに異を唱える「川越発祥説」も有力な説として存在します。

この説の根拠となっているのは、幕末の戊辰戦争です。

当時、新政府軍に加わっていた熊本藩の兵士たちが、旧幕府軍を追って武蔵国川越(現在の埼玉県川越市)に進駐しました。

その際、川越城に隣接する仙波山(せんばやま)に駐屯していた兵士たちと、地元の子供たちとの間で交わされた会話が歌の元になった、というものです。

「あんたがたどこさ(あなたたちはどこから来たの?)」という問いかけは、見慣れない兵士たちに向けられた純粋な疑問であり、肥後(熊本)に不案内な関東の子供たちとの会話だからこそ、自然な問答として成立するというのが、この説の要点です。

歌詞の「さ」は熊本弁ではなく関東の方言

歌詞の「さ」は熊本弁ではなく関東の方言

川越発祥説を裏付ける有力な根拠の一つが、歌詞で繰り返される「~さ」という語尾です。

「肥後さ」「熊本さ」「狸がおってさ」といった表現は、実は熊本弁ではありません。

これは関東地方、特に江戸時代から使われていた関東方言の特徴と一致します。

このことから、歌詞の中に熊本の地名が登場するだけで、歌自体は関東地方で作られたのではないかと、古くから多くの研究者が指摘しています。

「あんたがたどこさ」は方言で何と言うか

「あんたがたどこさ」は方言で何と言うか

この問いに対しては、「歌詞で使われている言葉そのものが、特定の地域の方言というよりは、関東地方で広く使われていた言葉遣いである」と答えるのが適切でしょう。

「あんたがた(あなたたち)」や語尾の「さ」は、熊本の言葉というよりも、むしろ標準語に近い、あるいはその原型となった関東の言葉遣いです。

そのため、「熊本弁で言うとどうなるか」という変換は難しく、歌が生まれた背景に関東地方が関わっている可能性を示唆しています。

「せんば」の地名は熊本が発祥なのか

「せんば」の地名は熊本が発祥なのか

歌詞の中で重要な手がかりとなる「せんば」という地名も、発祥地を巡る論争の的となっています。

発祥地の説「せんば」の場所特徴
熊本説熊本市中央区の船場町熊本城の近くに実在する地名。近くに「洗馬橋(せんばばし)」という市電の停留所もある。しかし、「船場山」という山は存在しない。
川越説埼玉県川越市の仙波山仙波東照宮などがある仙波古墳群一帯の別名。熊本にない「山」という地名と一致する。

熊本には「船場」という地名はあっても「船場山」という山はありません。

これに対し、NHKの番組『ブラタモリ』では、かつて熊本城の堀を作った際の土を盛った土塁を「せんば山」と呼んでいた、という説が紹介されたこともあります。

一方で、川越には明確に「仙波山」と呼ばれる地域が存在します。

この地名の一致が、川越発祥説の大きな根拠の一つとなっているのです。

歌詞が怖いと言われる狸(家康)説

歌詞が怖いと言われる狸(家康)説

「あんたがたどこさ」の歌詞が怖いと言われる最大の理由は、川越発祥説から派生した、歌詞の「狸」の解釈にあります。

この説では、歌詞に登場する「狸」は、単なる野生動物ではありません。

川越の仙波山には、日本三大東照宮の一つである「仙波東照宮」が鎮座しており、ここには江戸幕府を開いた徳川家康が祀られています。

徳川家康は、その謀略に長けた様子から「狸親父」と揶揄されることがありました。

つまり、「仙波山の狸」とは、徳川家康、ひいては彼が創設した徳川幕府そのものを指す隠喩(メタファー)ではないか、という解釈です。

猟師と鉄砲が意味するもの

この解釈に立つと、歌詞は単なる童歌ではなく、倒幕のメッセージを秘めた歌へと変貌します。


  • 徳川家康・徳川幕府
  • 猟師
    薩長軍を中心とする新政府軍
  • 鉄砲
    武力による倒幕

戊辰戦争の最中、新政府軍の兵士たちが「徳川幕府(狸)を武力(鉄砲)で討ち滅ぼす」という意思を、子供たちの歌に紛れ込ませて表現した、という説が「怖い」と言われる背景です。

狸を木の葉でなぜ隠すのか解説

狸を木の葉でなぜ隠すのか解説

狸=徳川幕府という説に沿って考えると、最後の「それを木の葉でちょいと隠せ」という一節は、さらに深い意味を持ちます。

この行為には、いくつかの解釈が存在します。

一つは、倒幕という歴史的な大事業を成し遂げた後、その事実を曖昧にする、あるいは何事もなかったかのように歴史の表舞台から隠す、といった権力者の意図を表現しているという説です。

また、別の解釈としては、敵であった徳川家康や幕府への最低限の弔いとして、亡骸を木の葉で覆って供養した、という見方もできます。

さらに、これらの歴史的な背景とは別に、飢饉によって食糧難に陥り、亡くなった子供を食べて埋めた悲しい出来事を歌っている、というさらに恐ろしい説も存在しますが、これはあくまで数ある解釈の中の一つです。

いずれにしても、この最後の一節が、歌に謎めいた余韻を与えていることは間違いありません。

総まとめ:「あんたがたどこさ」歌詞の意味の諸説

総まとめ:「あんたがたどこさ」歌詞の意味の諸説

「あんたがたどこさ」という一つの童歌には、これまで見てきたように、非常に多様な解釈と背景が存在します。

最後に、この記事で解説してきたポイントをリスト形式でまとめます。

  • 「あんたがたどこさ」は肥後手まり唄という童歌
  • 歌詞は出身地を尋ねる問答歌の形式で構成される
  • 一般的な歌詞では狸を猟師が撃って食べる内容となっている
  • 狸ではなくエビが登場する歌詞も存在する
  • 歌の結びが「うまさのさっさっさー」になる地域もある
  • 発祥地は熊本説と埼玉・川越説で議論が分かれている
  • 歌詞で使われる「〜さ」は熊本弁ではなく関東の方言である
  • 熊本の「せんば」は船場、川越の「せんば」は仙波山を指す
  • 川越説では幕末の戊辰戦争が歌の背景にあるとされる
  • 歌詞に登場する狸は徳川家康の隠喩という説がある
  • この狸=家康説が「歌詞が怖い」と言われる主な理由である
  • 猟師は新政府軍、鉄砲は倒幕の象徴と解釈されることがある
  • 「木の葉で隠す」行為にも歴史の隠蔽や供養など様々な解釈が存在する
  • 飢饉と関連付けた、さらに悲しい背景を想像させる説もある
  • 真実は不明ながらも、多様な歴史的解釈ができる奥深い歌である
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